田中歯科医院

レントゲン装置と消毒器

レントゲン装置は全てデジタル化されていて、撮ればすぐに見ることが出来ます。デジタルのなによりも良いのはレントゲン量が少ないということです。通常のフィルムに焼き付けるレントゲン量の1/6から1/10ぐらいです。それでも心配な人は防護服もあります。妊娠中の人はなるべく撮らないほうがよいでしょう。

デジタルレントゲン撮影装置デジタルレントゲン撮影装置

矯正用規格写真装置矯正用規格写真装置

小さな歯科用レントゲンデジタル読取装置小さな歯科用レントゲンデジタル読取装置

歯を削るタービンを滅菌する高圧蒸気滅菌器歯を削るタービンを滅菌する高圧蒸気滅菌器

レントゲン上での詳しい説明1レントゲン上での詳しい説明1

レントゲン上での詳しい説明2レントゲン上での詳しい説明2

レントゲン上での詳しい説明3レントゲン上での詳しい説明3

レントゲン上での詳しい説明4レントゲン上での詳しい説明4

レントゲン上での詳しい説明5レントゲン上での詳しい説明5

レントゲン上での詳しい説明6レントゲン上での詳しい説明6

歯牙の知覚過敏症

歯はエナメル質、象牙質、セメント質から出来ています。通常は外に見える部分がエナメル質です。エナメル質の下には象牙質がありエナメル質よりも軟らかいものです。 この象牙質を電子顕微鏡でみてみると小さな穴があいています。象牙細管といってこの穴を通じて外の刺激(熱い、冷たい等)が神経に伝わって「歯がしみる」ということがおきます。 エナメル質が虫歯や物理的刺激(歯ブラシや歯磨剤が加わる大きな力)によって破壊されると象牙質が表面に出てきて前記のことがおきてきます。歯磨剤は少し減らして柔らかい力で磨きましょう。

エナメル質エナメル質

象牙細管象牙細管

飲食物のpH

歯のいちばん表面にあるのが人体でもっとも硬いエナメル質です。そのエナメル質は飲食物が口に入るたびに溶けています。溶けているというと驚かれるかもしれませんが実際に溶けているのです。歯のエナメル質はpH5.5以下の数値の酸性度の飲食物で溶けています。 飲料水のpH(英ピーエイチ、独ペーハー:水素イオンの濃度を表わす数値)はいろんなところで公表されています。例えば以下のとおりです。

レモン2.10 コーラ2.20 白ワイン2.30 栄養ドリンク2.50 赤ワイン2.63 ペプシコーラ2.72 ラムネ2.73 コカコーラ2.75 梅酒2.9 コカコーラライト2.92 オレンジジュース(100%)3.00 ヨーグルト(プレーン)3.26 サイダー3.4 ポカリスエット3.58 グレープフルーツジュース(100%)3.60 ヤクルト3.60 ビール3.7〜4.4 ポン酢3.8 白米4.0 アップルジュース(100%)4.10 清酒4.2〜4.7 醤油4.7 トマトジュース5.00 紅茶(ストレート)5.5 コーヒー(ブラック)5.5 味噌汁5.5 コーヒー(ミルク)6.20 紅茶(ミルク)6.60 牛乳6.7 等

コーラが2.20、ワインが2.30~2.63の強酸性とは驚きですね。就寝前にコーラやワインを飲んでそのまま寝てしまうと最悪です、寝ている間は唾液が出てきません、ですから唾液による緩衝やエナメル質の修復が出来なくなり虫歯になる下準備が出来てしまうということです。寝る前の飲食はせず必ず歯磨きをしましょう。 レモンから紅茶(ストレート)まで歯が溶けるpH5.5以下の酸性ですからエナメル質は溶けてきます。しかし人体には驚くべきしかけが隠されています。それは唾液腺から出てくる唾液です。唾液の緩衝作用によって急速に口腔内pHが中性にもどされますし、唾液に含まれているカルシュウムによって溶けたエナメル質は修復されるのです。従って通常の飲食物をとっている場合には歯は守られているといってよいでしょう。 しかしだらだらと食べていると修復される時間がなくて溶けたままのエナメル質になるのです。酸性の飲食物にさらされる時間が長いほど唾液による修復は難しくなります、ですから間食はなるべく少なくしましょう。 口腔内のpHをはかることができますが口腔内pHの測定をするときは数日にわたって評価する必要があり1~2回の測定では有効な結果が得られないとする研究が出ています。 いわゆる「むし歯」は口腔内pHよりも歯垢内pHが酸性に傾いているために引きおこされることのほうが多いのです。ですから食後に歯を磨くというのは歯垢を落としてpHが歯を溶かすほどの酸性にならないようにしているということです。

フッ素塗布

歯のもとになっているハイドロキシアパタイトの成分はフッ化カルシュウムなので酸蝕された 歯牙の表面に塗布するのは有効だと思います。しかしフッ素塗布したからといって虫歯にならないとはかぎりません、毎日のていねいな歯磨きがいちばん大切です。

智歯(ちし:親知らず)  智歯周囲炎 → 蜂窩織炎(蜂巣織炎)

智歯は一般的に親知らずとも言います、かなり成長してから出てくるのでそのように呼ばれています、智歯は稀に先天的欠如している人もいますが多くの人が持っています。歯肉や骨に埋まって見えないこともありますが、レントゲン撮影で存在を確かめることができます。 智歯は上下の歯がうまくかみ合っていないばかりか歯肉や骨に埋まっていることがあったり、また横向きに生えていたり、複数の歯牙が重なっている場合もあります。下顎の智歯は埋まっている場合が多く、清掃ができなくて汚れ、知歯の前の歯が虫歯になって最終的に欠損し、ブリッジや入れ歯ということになるケースが多くあります。また上顎の智歯は生えていてもかなり狭いために歯ブラシが届かずに虫歯になってしまいます。 特に下顎の智歯は感染が拡大して顎から首にかけて大きく腫れて蜂窩織炎「ほうかしきえん」(又は蜂巣織炎:ほうそうしきえん)となり呼吸困難をきたして窒息する場合もあります。これが一晩で急速に進展することもあるので注意が必要です。当初は喉のあたりが痛いな、風邪かなと思って風邪薬を服用しているうちに智歯周囲炎から蜂窩織炎(蜂巣織炎)へと進展することもあります。蜂窩織炎は進展すると筋肉と筋肉の間に膿が入り込むために血管からの白血球等の攻撃がなくなりさらに増大します。ですから薬を服用しても全く意味がなくなります。救急で入院し切開、排膿が必要になります。 また若い女性の場合は将来結婚すると妊娠出産の可能性があって、妊娠中に智歯の周りが腫れてくると胎児への影響を考えてなるべくレントゲンは撮りたくない、薬は服用したくないと思うなどめんどうなことになります。このようなことが無いようにするために智歯の抜歯が必要になってきます、何時ごろ抜いたら良いのでしょうか。私は基本的に体の成長が止まった頃が良いと考えています。成長期に抜いたりすると左右の顎の成長のバランスがくずれて顎変形症の原因ともなりかねません。ですから成長が止まる20歳前後頃がよいと考えています。若い時は骨の増殖も活発で治りが良いのですが年齢を重ねるうちに若い時のようにはいかなくなります。自覚症状が出てきてからでは遅いことがほとんどです。20歳前後には歯科医院でレントゲンによって自分の智歯がどのようになっているかを認識しておきましょう。 ではなぜ智歯はこのような生えかたになるのでしょうか。おおざっぱに言うと骨格の変化です。縄文時代の顎の骨格は幅が広くがっしりとして智歯まで全てかみ合った状態であったものが時代とともに少しずつ顎が小さく細くなって智歯のはえるスペースがなくなったことが原因です。これは遺伝的な要素もあると思いますが私は何よりも食べるときの咬む力と回数が原因だと考えます。 食事の時の咬む回数はどのように変わってきたのでしょうか。弥生時代は3990回、江戸初期では1645回、現代は620回(NHK出版)です。現代はカレーやスパゲティなどの柔らかい素材で、あまり咬まなくても飲み込めるものが多くなっています。したがって顎は退化してきて小さくなってきていると言えるのです。人は生まれてすぐに母乳を吸いはじめることから顎の運動が始まります、その回数や力のトータルが顎の成長や歯並びにも影響しているといえます。幼少期から固いものを食べて咬む回数を増やしましょう。 また知歯は別の利用方法もあります、他の歯が何らかの理由で抜かなければならない場合に歯牙移植をすることができます、若い人ほど生着率が良いのですが、歯牙の状態や年齢によっては移植後に歯根が吸収し、あるいは感染によって移植が失敗に終わることもあります。 最近の話題としては智歯を臓器移植に利用しようと歯髄の幹細胞から肝臓細胞を作るということも研究されています。

左下の智歯の前の虫歯 左下の智歯の前の虫歯

左上の智歯の虫歯 左上の智歯の虫歯

智歯の前の歯が抜けている 智歯の前の歯が抜けている

2本の智歯(過剰歯) 2本の智歯(過剰歯)

また智歯から嚢胞(のうほう:袋状の良性腫瘍でなかに液体がある)として腫瘍が骨の中にできる場合があります、大きいものは入院加療が必要です。

濾胞性歯牙嚢胞(ろほうせいしがのうほう) 濾胞性歯牙嚢胞 (ろほうせいしがのうほう)

濾胞性歯牙嚢胞 濾胞性歯牙嚢胞

歯根嚢胞(しこんのうほう)

歯の根の先端に出来る袋状の良性の腫瘍です、袋の中には液状のものが入っています。レントゲンで根の先に丸い袋状のものが見えます。ほとんどの場合は外来治療ができます。ときには顎骨の大半を占めるような巨大なものもありますがその場合は入院加療が良いでしょう。 比較的小さい場合の治療方法は歯根端切除術といって根の先端部分を少しだけカットして根管の処置をし、同時に嚢胞も摘出するという方法です。なぜ歯の根の先端を切除するかというと、根の先端部分に嚢胞の一部分が付着していると再発の可能性が大きくなるためです。 嚢胞摘出後のレントゲンで黒くなっているところは再度骨が出来てきます、あまりに大きいと骨補填剤の使用や骨移植をするときもあります。

歯根嚢胞

歯根嚢胞

歯周病

歯周病は口腔内細菌が引き起こす慢性の炎症によって歯槽骨が吸収される病気です。炎症がおきると白血球やマクロファージが出てきます、それらが分泌するTNFαやインターロイキンというサイトカインが破骨細胞を誘導し骨吸収が起きてきます。またTNF-αは、好中球からエラスターゼを産生させ、血管内皮細胞を障害し微小循環障害を惹起させます。 歯の根が埋まっている歯槽骨の量の半分近くまで骨が無くなれば硬いものが噛めなくなります。歯周病の予防処置はこの骨吸収を予防するということにあります。 通常は口腔内常在菌として誰しもが細菌を持っています。食事をしたときには食物等によって流され、会話等による唾によって流されていますので常在菌はいますがそれほど多くは増えません。しかし寝ている間は唾液が出ないので常在菌は爆発的に増えます。寝る前と朝の歯磨きは細菌を増やさないためと、増えた細菌の除去という意味があります。 また細菌は歯石(炭酸カルシュウムの結晶)がたまると増えるということがあるので定期的な歯石除去は必要です。歯石は4か月ほどで付いてきますので通常は4ケ月毎の歯石除去が望ましいでしょう。歯が埋まっている歯槽骨の吸収が指摘された方は3か月毎の歯石除去がよいと思います。いずれにしても毎日の歯磨きが最も大切です。歯磨きをするということは炎症の原因となっている細菌を除去しているということです。歯磨きの方法が重要です、歯科医院で指導を受け、ていねいに歯磨きをしましょう。 また口腔内は強いところですので歯周病の自覚症状が出てくるのが遅く自分では気が付かないうちに症状が進んでいる場合がありますので注意して下さい。

歯牙に付いた細菌 歯牙に付いた細菌

歯石と細菌が固まったもの 歯石と細菌が固まったもの

歯列矯正治療

歯列矯正治療は骨格治療を考慮する場合は12歳頃まで、歯列矯正の場合は10~12歳頃から成人までが適応時期です。歯列矯正は矯正専門の大阪大学歯学部卒の女医さんにお願いしています。人気の女医さんです。全幅の信頼をしています。

インプラント

インプラントの適用は体のどの部分においてもなされています。例えば口腔外科的な分野で言えば上顎癌で片方の上顎の全摘出を行い頬部の軟組織も摘出したときはエピテーゼ(独:Epithese)という体の表面を覆う顔面補綴物を装着するときに目の近くや鼻の近くの骨にインプラント体を付けて顔面補綴物を固定するようなことをします。 歯科用インプラントについては皆さん想像されるような歯の代用物として上顎、下顎に装着する人工物です。私の医院では世界中で最もポピュラーなノーベルバイオケアー社のインプラント体を使用しています。 顎の骨がインプラント体を埋め込むのに必要な10㎜以上の余裕があれば万全です。また骨の厚さが10㎜以下しかない場合は骨移植をしてからインプラントをしたりします。骨移植は口の中の骨を使用します。5㎜ほどの骨しかない場合でもインプラントができますよという意見もありますが私はやはり10㎜以上の骨があったほうが良いと考えています。 インプラントと併用して磁石によって義歯を安定させるという方法もあります。この方法は歯牙が2~3本残っている場合にもインプラントをしないで歯牙に磁石を付けて安定させるという方法もあります。この方法であればクラスプという義歯に付いているバネをせずに済みますし脱着もスムーズにいきます。

唾液の作用

唾液の作用は、消化、抗菌、免疫、洗浄、歯の再石灰化、粘膜保護、粘膜修復などの作用があります。また唾液には上皮成長因子(EGF)が含まれ、EGFの低下がアフター性口内炎の一因とも考えられています。さらに脳神経の老化を防止する神経成長因子(NGF)も含まれていることが解っています。また最近話題になっている胃癌の原因ともされるヘリコバクターピロリ菌を唾液は抑制するという研究結果(京都大学医学部口腔外科、老年科、消化器内科)が米国の有名な消化器内科雑誌(Gastroenterology)に出ています。したがってこの研究結果からよく咬んで唾液を出すことによってピロリ菌を抑制することができるということが言えます。 唾液は就寝時には出なくなります。ですから唾液の抗菌作用が働かなくなり口腔内細菌が増殖します、そして食物残渣や糖分が残っていると細菌の活動がさらに活発になると同時に歯垢内の酸性度が強くなりエナメル質が溶けたり(脱灰)、炎症によって白血球やマクロファージが浸出し、そこから出てくる物質によって破骨細胞が誘導されて骨吸収にいたることがあります。寝る前の歯磨きはこのようなことを予防する意味でも大事ですね。 多くの人は下の歯に比べて上の歯が汚れています。また唇面と舌面を比べると、唇面のほうが汚れやすく、う蝕(虫歯)も舌面よりは唇面に多いという結果が出ています。これは出てきた唾液の口腔内循環の違いによるものであろうと思います。前歯は唾液が届きにくいのですね。

唾石症

唾石症とは唾液腺の中や唾液腺管に唾石が沈着したものをいいます。唾石が大きくなって唾液腺管につまると食事の時に唾液腺の部位に痛みがあり腫れたようになってきます。しばらくすると痛みも腫れもなくなります。治療は唾石を摘出するか唾液腺体に唾石がある場合は唾液腺の摘出もあり得ます。唾液腺体の提出は入院加療が必要です。唾石によって唾の流出が無くなると細菌感染をおこして唾液腺炎となることもあります。

顎下腺管唾石症

外傷性歯牙脱臼(がいしょうせいしがだっきゅう)

スポーツや転倒などで歯牙が何かにぶつかって動揺したものです。歯が浮いたようになったり痛みがあったりします。 外傷性歯牙脱臼の治療は、通常は歯牙固定を行います。固定で最も簡単なのは強力な接着剤で両隣の歯牙と接着する方法です。透明な接着剤ですので目立ちません。その他に強力な紐を歯の裏において接着剤で固定、ワイヤーで歯牙を結紮して固定、プレートを作製してワイヤーと固定する等の方法があります。 通常はそれでも良いのですが歯牙の根が折れている場合があり、根の先端に近いところで折れている場合は保存出来ることがあります。その場合には一度抜歯をして、折れた先端部分の根を取り出し抜歯した歯牙を根管の処置をしてすぐに再植固定することもあります。あるいは状態によって歯根端切除術で処置をすることもあります。折れている部分が根の半分以上のところでは保存が不可能な場合もあります。再植した歯牙は年月が経つと根が吸収されて短くなる場合もあります。

外傷性歯牙脱落(がいしょうせいしがだつらく)

外からの衝撃的な力によって歯牙が抜け落ちたものです。歯牙再植が治療法です。抜けた歯牙をきれいに洗浄後に脱落創に戻して固定すれば生着します。抜け落ちた当日や、場合によっては翌日でも生着することがあります。 抜け落ちた歯は捨てないで保存しておきましょう。その場合に脱落歯牙を牛乳の中に入れ冷蔵庫で保管しておくのも良い方法です。牛乳に入れたまま持ってきてください。

顎骨骨折、歯槽骨骨折

交通事故やスポーツ事故で骨折する人が増えています。顎骨骨折の場合は顎間固定(がっかんこてい:上顎と下顎をワーヤーで固定)したり金属スクリュウやセラミックスクリュウで固定したりする場合があるので入院加療が良いでしょう。歯槽骨(歯が埋まっている骨)骨折の場合は外来治療でできる場合がありますのでご相談下さい。

外骨腫(がいこつしゅ)

外骨種とは骨の表面にできる良性の骨腫瘍です、骨のあるところならば全身のどこにでもできます。口腔内では上顎、下顎にできる骨隆起です。顎の骨が大きくふくれたように飛び出ているものです。しかし義歯を装着したときにふくれたところに当たるために痛みがでることがあります。そのような方は外骨腫を摘出すれば簡単に治ります。良性のもので心配はいりません、義歯を装着していない方で取りたくない人はそのままでも問題はありません。しかし、舌側や上顎の口蓋にできた外骨種で大きいものは食事による摩擦で赤くただれているものがあります。そのような場合は早めの外科的な処置がよいでしょう。

外骨種

顎関節症(がくかんせつしょう)

顎の関節が痛い、口が開けにくい、コリコリ、ゴリゴリ、カクンカクンと音がする、これらの症状がある病気は顎関節症と言います。 来院される患者さんで多いのは顎関節の関節円板がずれることによってカクンカクンと音がするという症状です。口が開けにくく痛みがある、音がするという症状で顎関節症の6割を占めます。原因は歯ぎしり、歯並びが悪い、噛み合わせが悪い、片噛みの癖、頬杖をつく、精神的なもの等いろいろなものがあります。 治療は片噛みの矯正訓練など習慣的な癖をなくすことから薬剤、プレート(合成樹脂の歯の形にあったもの)を装着する、手術等があります。合成樹脂のプレートの装着は顎関節円板への負担軽減のために行うものです。 片噛みの癖がある人は意外に多くいます、鏡に向かって見たときに右側あるいは左側の頬がどちらかに比べてふくれている場合は確実に片噛みがあります。一度片噛みの癖がついてしまうと無意識のうちに右なら右、左なら左で噛んでしまいます。使っている筋肉は発達して使わない筋肉は衰退していきます。ニュースを伝えるアナウンサーの方などは左右の咬筋の発達度合いが違うのが良く分かりますね。左右の筋肉の偏った使い方はせずに食事のときは左右平均に噛むようにしましょう。

片噛みによる左咬筋肥大 片噛みによる左咬筋肥大

粘液嚢胞(ねんえきのうほう)

粘液嚢胞は口腔粘膜にできる小さな袋状のもので特に下口唇(したくちびる)の左右どちらかに出来る場合が多くみられます。原因は小唾液腺の出口が外的な力によってふさがれてしまい、そこに唾液が溜まったものです。小唾液腺のあるところならばどこでもできます。多くは犬歯の先端が下口唇を傷つけて小唾液腺の出口がふさがれて唾液が溜まってできます。口腔粘膜には汗の腺のように小さな唾液腺が多数存在し口腔内を湿らせています、それを小唾液腺といいます。 治療法は開窓療法か全摘出です。開窓療法はぷくっと膨らんだ粘膜を開いて円状に縫合して腺の出口を開いてやるというものです。全摘出というのは小唾液腺ごと摘出するということです。 開窓療法は口唇の神経を傷つけるおそれがないということであるが食事時の口唇の動きで糸がとれたりして再度唾液の出口がふさがってしまい再発することがあります。特に舌の横の口腔底(こうくうてい)に出来た場合は自覚するまでにはかなり大きくなっているので開窓し抗生物質軟膏を塗ったガーゼを挿入して開窓口がふさがらないようにしたりします。

粘液嚢胞

粘液嚢胞

他に口腔内の病気としては以下のものがあります。 含歯性嚢胞、術後性上顎嚢胞、ガマ腫、舌乳頭腫、白板症、黒毛舌、歯肉増殖症、歯肉エプーリス、歯肉膿瘍、血腫、血管腫、口内炎、扁平苔癬、悪性黒色腫等。

顎変形症(がくへんけいしょう)

顎の骨格的な位置や形態の異常によって顎顔面の変形や咬合の異常を認める状態を顎変形症といいます。手術的に顎顔面の変形を矯正し、術前術後の歯列矯正治療を伴います。顎変形症に伴う歯列矯正治療は保険の適用範囲内です。 昭和53年に第1回顎変形症研究会が京都大学医学部口腔外科の主催で開催され、その準備に関わったものとして懐かしく、東京歯科大学口腔外科元教授ST先生、同口腔外科の元講師TT先生などにも懐かしい思いがあります。顎変形症研究会が9回ほど続いて、今は学会員2000人を超える顎変形症学会として発足しています。 顎変形症の手術は口腔内からの切開となるので顔面に傷を残しません。顎の移動、回転、短縮、延長等で正常にすることが目的です。入院加療が必要です。

クインケ浮腫 (クインケ:ドイツの内科医)血管性浮腫

急激に口唇やマブタが腫れる病気ですが放置しても自然に腫れがおさまります。 原因は免疫系等の異常ともアレルギーともいわれています。血管やリンパから体液が出てきて腫れるものです。突発性局所性浮腫(血管性浮腫)といわれます。喉頭に出てくるときは呼吸困難にもなりますので注意が必要です。

クインケ浮腫

口腔癌

口腔癌は口唇、舌、歯肉、口腔底、頬粘膜、口蓋、顎骨等にできます。ネットでは多くの口腔癌の症例が出てきます。見ただけで癌と分かるものから判別がつきにくいものまであります。私の経験ですが8回ぐらいの病理検査で舌癌とわかったものもありました。1週間ぐらいで炎症が消退しないものはまずは疑ってみるべきでしょう。 破折してとがったような歯牙が舌に触っている場合などや、歯牙で歯肉を傷つけるような状態等がある場合は要注意です。そのような状態で10年~20年と経過すると舌や歯肉が悪性のものに変化する場合もあります。早めの歯科処置をしておきましょう。